マイペンライでゴー
第17号

夕焼けイノキスト・宮脇まさはるの
プロレス郷愁の風景

宮脇正治
柏原 誠
柏原 誠
夏実

「忙しい」という言葉は美しいとは思わないが、なんだか使いたい気分である。世間もなんだか、年度末で忙しいのであろう。
あと少しで4月である。新入生や新入社員がやってくる季節だ。桜もそろそろ咲き始めたようだ。

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『夕焼けイノキスト・宮脇まさはるのプロレス郷愁の風景』
過激な真面目と猪木の“気”・・・の巻

▼宮脇正治

 突然の電話に、驚いた。
 あれは、去年の大晦日、夜9時半すぎ。年末の掃除や片付けをしつつ、「やってるだろな、今ごろ。大阪ドーム、イノキ祭り。どんなことになってるんだろ」などと思っていた矢先、ベルが鳴った。それがなんと、ドームに居る 友人からだったのだ。彼の高揚ぶりは、相当なものであった。
 「宮脇さん! もう・・・スゴイですよ!!猪木の“気”ですよ、これは。素 晴らしいです!橋本の入場曲がかかったときなんか、どっとボルテージ上がって・・。猪木という人の熱気とゆうか、超越したパワーがね、全選手 を取り仕切って、ドーム全体を支配して、4万2千人を統率して、エネルギ ーの塊・・この盛り上がりと感激、ホンマ、最高です!いま、中休みで、 この気持ちをどうしても、誰かに伝えたくって・・・」。
 とまあ、こんな具合いだったと記憶しているが、いよいよ世紀末も秒読みというとき、思いがけなくその“誰か”になれて、私はかなり光栄だった。そして彼の声は、とても不思議なはずみ方をしていた。聞けば、TV番組の制作の仕事で今、ドームに居るという。わざわざ関係者室から、リポートを入れてくれたのだ。道理で場内の大歓声は、聞こえなかった。だから余計に、声の調子が普通じゃないのもよくわかった。ただの興奮ではない、声がα 波状態、温泉につかって一杯飲んで、という心地よさをも感じさせ、とにかく、完璧にイノキ・イリュージョンの波に乗っていたのだ。
 さぞかし、猪木の凄まじい“気”が、大空間に渦を巻いていたことであろう。 その声を受けた私のハートにも、イノキ現象の波動がじかに伝わり、気がつけば、受話器に向かって「ダアーッ!!」と叫んでいた。

 いったい、猪木の“気”とは、何なのだろうか。
 イノキ祭りの参加選手は、プロレスラーと各種格闘技の実力者が総勢26名。個性とアクの強いこの猛者たちを、まとめるだけでも並大抵ではないのに、彼等を導いた上、新世紀の格闘ロマンのメッセンジャーとして、新しいモノを創造するという大目的をも達成してしまった。
 新しいモノを創造するとは、誰もがやったことのないことを成す、または、 不可能を可能にする、ということだ。過去を辿れば、当時考えられなかった、 大エースG馬場への挑戦表明を皮切りに、ルスカ戦、アリ戦をはじめとする 一連の「格闘技世界一決定戦」、極めて大掛かりな「世界マット界の統一」 イベント、北朝鮮、アメリカ、モスクワでの平和とスポーツの祭典開催等々。 更には6メートル四方のリングを遥かに越えて、地球の食糧・資源・環境 問題解決のためのハイセル事業、スポーツ平和党の設立、イラクでの日本 人人質解放等々、他にも数えればキリなく猪木は、たくさんのドデカイことと 格闘してきた。今後も際限なく、夢に向かって突っ走ってゆくであろう。たとえ数々の醜聞にまみれつつも。

 だが私は、何故に猪木がそのような、ともすれば誤解を招き危険を伴う野 望・大望を、次々と設定してゆけるのか、わからない。確かにそれが、人々の心を捕える大きな理由ではある。浮き沈みの激しい生き様。あらゆる境界 を越え、どんどん踏み込んで行く勇気、あるいは図太さ、アバウトさ。
 しかし、私がそれらよりも魅力を感じるイノキの要素とは、誰が何といおうと成し遂げてやるという本気さ、スピリット、情熱と真剣さ、物凄いエネルギー と並外れたバイタリティ・・そしてその根底にある真面目さ。過激な真面目さ、 なのだ。  それは例えて言えば、医者から「安静にしていなさい」と言われたら、食事 以外はそれこそ微動だにせず、寝床でじっと仰向けに、雑誌もTVもなしで、 何日もただただじっとして、一刻も早く病魔をぶっ倒してやろうとする、慈恵医 大病棟での猪木の姿。

 目標、願望、夢を明確化したら、それを実現させるために何をすれば良いの か、自分は何処へ行くのか、猪木は知っている。
 猪木は生まれ持って、無口で不器用な男だという。だが、コツコツとやり遂げる粘り強さは一流の少年だったらしい。  若き猪木が、黙々と稽古に励んでいる。腕立て、腹筋、屈伸・・何百回、何千 回。馬鹿みたいに、同じことを繰り返す。来る日も、来る日も。それは、効率考 慮の科学的トレーニングとは、別の話。しかし、人々を感動の渦に巻き込む 強烈な求心力は、案外こんな風景から育ったのではないだろうか。  何もそこまでしなくても・・と思ってしまうほどの、イノキの真面目さ、ひたむき さ。それが本番では、恐るべき集中力となり、時として神通力にまで高められ る。その時だ。霞がかかった場内に、イノキの“気”が漂うのは。
 それは私にとって、一度魅入られたら生涯逃れられない、魔性の“気”、なの である。

 

【宮脇正治 みやわきまさはる】1960年、大阪生まれ。佛教大学では放送局 設立準備会とプロレス研究会に所属。現在、プロスタイルレスリングJWA関西 事務局スタッフ。  どんな時でも、夕焼けを見てはイノキを想い、イノキを想って はわが人生に闘いのゴングを打ち鳴らすという、根っからのイノキストである。


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『Fomura1〜大地を翔ける秒速の戦士たち〜』 ---開幕戦---

▼柏原 誠 

3/4 21世紀最初のF1が開催された。
第1戦メルボルンの結果は、やはり王者の貫禄でM・シューマッハ(フェラーリ)が優 勝、2位D・クルサード(マクラーレン)、3位R・バリチェッロ(フェラーリ)。
毎回波乱の展開となる第1戦は予想通り完走13台というサバイバルレース。
予選でシューマッハが大クラッシュしたので、今回は安定性重視でマシンを仕上げたと いうマクラーレン有利かと思っていたが、決勝では全く逆の展開となった。 予選トップのシューマッハがスタートミスもなくそのままトップを快走、セカンドロー のハッキネンは逆にファステストラップを刻むシューマッハのペースについていけず、サスペンショントラブルでリタイアとなった。

さてレースの展開をON AIRで色々とメモってみたのだが、まず注目のホンダ勢。 BARに続いてワークスエンジンを獲得したジョーダンが1発の早さを見せた。結果的にはどちらも上位に食い込み、ポイントをGETしたけど、開発面では復帰したベテラン、 O・パニスのいるBARが有利な気がする。 ジョーダンのH・H・フィレンツェンも 優勝経験のあるドライバーだが、勝負強さという面ではパニスが上か。
そしてもうひとつは、そのフィレンツェンと熾烈な5位争いを演じたザウバーのN・ ハイドフェルド。彼は昨年プロストGPにいて散々だったが、今年からザウバーにエース ドライバーとして迎えられた23才である。そしてザウバーに詰まれたエンジンは 2000のチャンピオンマシン、フェラーリF1−2000に詰まれていたF049、つまりフェラーリのセミワークスマシンなのだ。10才上の同郷フィレンツェンと後半バトルを演じ、フィニッシュまで抜かせなかったのは特筆に値すると思う。こういう 若いルーキードライバーが今年は5人も出ているから、どんどん上位陣をかき回して欲しいものだ。

そして今回はブリジストンとミシュランのタイヤ対決も見ものだった。が、今回は完全にブリジストン勢の勝ちだろう。まあ2年のアドバンテージがある分、コースとの相性も あるだろうし、マシンとのマッチングもデータがある分有利か。グリップの落ち方に差があったのが今回は勝負の分かれ目だったようだ。
しかしシューマッハの速さには恐れ入る。昨年のベストラップと比べ4秒以上早いのだ。しかもマシンが昨年以上に安定しているから、中盤までにマクラーレンがどれだけ勝てるかがチャンプ奪還へのカギとなるのではなかろうか。ハッキネンが今ひとつ勝負どころで ミスしてしまうのがちょっと痛い。それ以上にいぶし銀の活躍をするクルサードも、ついていない時は思いっきり弱いしな・・・。 フェラーリファンを公言してやまない私としては、嬉しい限りなのだが、やはりライバルが立たないと・・・なんて勝手な事を思う第1戦だった。

最後にひとつ、レース前半、R・シューマッハ(ウィリアムズ)とJ・ヴィルヌーヴ (BAR)のクラッシュがあった。双方ともコーナー手前での競り合いがキッカケだった らしいが、これが原因でコースマーシャルが1名、亡くなったらしい。レースとは言え危険はつきもの。でも互いに信頼し合って走るからレースなのだ。早々に犠牲者が出て しまった事は非常に残念だ。合掌・・・。


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『Fomura1〜大地を翔ける秒速の戦士たち〜』 ---第2戦---

▼柏原 誠


 さて今回は第2戦「マレーシアGP」の結果から。
大方の予想通りフェラーリ・マクラーレンの2強対決と言いたいところだが、昨年同様 マクラーレンの調子があまり良くない。
予選グリッドでは4位にハッキネン、8位にクルサードと、フェラーリはキッチリと1− 2 ポジションを取っているのに対し、イマイチの状態だ。レースでの走りをテレビで見る限り、やはり高速コーナーの出口でかなり修正舵をあてていることから、マシンのフロント側のセッティングに問題があるように思えた。
そして予選3位に立ったのがミハエルの弟・ラルフ・シューマッハ。この人予選ではたびたび兄ちゃんのタイムを凌いでいたから、今後ますます楽しみである。何よりウィリアムズBMWの速さはかなりのもの。昨年の好調を持続させているから、往年の「ロスマンズカラー」時代をほうふつとさせる活躍が見たいものである。

さて決勝だが、これがまた大波乱であった。3番手のラルフは1コーナーで2番手のバリチェッロと接触しスピン。大きく後退してしまう。変わって飛び出したのがマクラーレンの巧者クルサード。この人、個人的にはいつでもチャンピオンになれるのにと思うのだが、ちょっとツキに見放されている。このまま序盤は進むかと思ったのもつかの間、赤道直下の国らしく突然のスコールがサーキットを襲う。折りしもタイミングが悪いのか どうなのか知らないが、下位グループから続々とピットインし、レインタイヤに替えてゆ く。
先頭グループはというと、ドシャ降りの中でミハエルがコースオフ。すぐ続いてバリチェッロもコースを飛び出し、あわやタイヤバリアに接触リタイアかと思われた。が、しか し、運良くコースに戻ると既に10・11位と大きくポジションを落としていた。 今回はこのままで終わりかな・・・と思っていたが、スコールは言わば「通り雨」。ここで遅れてピットに入ったフェラーリの2台はセフティカーが入ったコースの状態から晴天・ 雨天どちらでも走れる「インターミディエイト」タイヤを選び、ピットを飛び出す。
予想どおりセフティカーの先導は続く中で順位は変わらぬもののその距離はどんどん 縮まっていった。
そこからのフェラーリの速さが凄かった。ものの10週前後で見事にワンツー体制に返 り咲いたのだ。その間の早さたるやもう「ゴボウ抜き」状態。下位グループが溝の深い「ヘヴィーウェット」を選択したため、雨が上がりドライコンディションの状態ではタイムが出ない。そこにインターミディエイトを選んだフェラーリがブチ抜いてゆくというまさに 「作戦勝ち」であった。 結果としてはミハエルの6連続ポールtoウィンというオマケ付きの勝利。そしてバリ チェ ッロが2位に入り、フェラーリの独走で終わったレースであった。 それにしても今年のフェラーリは去年以上に強い。というのは、「晴れでも雨でも関係ない」位、マシンが安定しているのである。対してマクラーレンは今回、かなりドライ方向に振ったセッティングだったように見えた。スコールとドライのタイムの差がフェラーリ以上に空いてしまっているのも、敗因のひとつかも知れない。まあ昨年同様、ヨーロッパラウンドでバンバン勝つのかも知れないけど・・・あと残念だったのがラルフ。BMWのパフォーマンスはバツグンだったが、やはり僅差でタイヤの性能が出たかなという感じだ。そしてもうひとつはアロウズのフェルスタッペン。一時は3位を走行するという活躍ぶりだ が、いかんせんエンジンを含め昨年のような「光る部分」が無いのが残念だ。
さて次は4月1日のブラジルGP。昨年同様、ミハエルのハットトリック達成なるか、或いはマクラーレンの巻き返し成るか・・・・。


【柏原   誠:かしはらまこと】1963年2月生まれ。赤井英和・和泉 修を輩出した浪速高校を卒業、佛教大学で放送局に所属する。卒業後12年間のサラリーマン生活を経て独立、87年に設立したグループ、ノクターン・クラブを復活。和泉 修の誘いでテレビ番組の構成作家とうめだ花月シアターでの舞台演出を手伝う。


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『風流花譚』
〜さよならを耳にする時、口にする時〜
〜ミモザの恋〜

▼夏実


        〜さよならを耳にする時、口にする時〜

 これまで何度、耳から心へそして心から唇へと、それはこぼれ落ちていった事だろう。その逆さまのベクトルは様々の速度で自らの心に突き 刺さり、自らの心から放たれて行く。そしてきっとこれからも。
 ただの挨拶でしかない一言が、100の言葉より確かに伝わる言葉に変化 したその瞬間、その切ない響きに打ちのめされる。
 『さよなら。』
その一言に、一体いくつの言葉を重ねているのか。溢れる涙がその答えを流してしまう。


             〜ミモザの恋〜  

 ミモザが満開になる頃。
 降り注ぐ陽光は瞳からあふれそうなその黄色の可愛い花を、よりロマンティックに着替えさせて行く。私はたわわに花のついた一枝を切り取り、 少しくすんだ緑の葉を丁寧に取り除いて行った。一つ一つ…そっと。全て 取り終えた時、私の手の中にひときわ際立つ美しさをたたえた黄金色のミ モザが残った。『秘めた恋』これがミモザの花言葉…。  まだ冷たさをはらんだ風が駆け抜けて行く。
 思わず空をあおぐと空を埋めるように咲き誇るミモザの花に目を奪われた。『さよなら。』も、そんな言葉なのだろう。余分なモノを取り払ったらシンプルな、そのものの美しさが見えた…そういうことなのだろう。心 を込めれば込めるほど、考えれば考える程、その気持ちが真剣であればある程、その思いを伝える言葉はシンプルになっていき、『さよなら』の一言に集約されていく…。

 彼の青い瞳はとても切なそうに見えた。
 『さよならはとても…美しい言葉だね。』
 私はその瞳に吸い込まれそうになるのを感じて、目を伏せた。
 『悲しいくらいにね…。日本語の中で一番美しくきこえる言葉。』
 私は小さくそう言った。普通に声を出すと涙が出そうになったから。
 そしてそっと彼に黄金色のミモザを手渡した。小さなかわいい花がいくつ かホロホロとこぼれ落ちた。
 『ミモザには青い空が良く似合うわ。』
 私は思いきるように空を振り仰いだ。
 彼はミモザを空にかざすようにずっと、ずっとみつめていた。

 私は幾本ものミモザの枝の葉をきれいに落とし、大きなピッチャーに生けていた。溢れるような黄金色はテーブルにおかれた1通のエアメールを祝福するようにやわらかく包んでいた。
 『君のさよならを耳にした時、とても僕には口に出来なかった。僕にとって君は大切な人なんだと…その時わかったから。今年のミモザはもう咲いていますか?満開になる頃、また日本を訪れる予定です…。』


【夏実:なつみ】2001年、ryu_mama♪のHNでサイト『Ryu's Cafe』を開設。 現在、1男の母。

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■編集後記

もう少し落ち着いたら、この「マイペンライ de Go!」もリニューアルしたいものだ。
できたらの話ですけどね・・・・。どんなに忙しくても発行しつづけるのだ。新しい企画も
考えよっと!

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編集:柏原  誠
    増田達也

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2004年1月10日 更新