マイペンライでゴー

第15号
20世紀最終号


20世紀雑感

かしはらまこと
Kei
増田達也

夏実


20世紀もあと1日。21世紀がとうとうやってくる。何も変わらないかもしれないし、何かがおこるかもしれない。どっちにしても行動を起こさなきゃ、あなたは20世紀のまま年を重ねるだけ。せっかくだから、何かをはじめてみては?
21世紀も「マイペンライ」はどんどんライターを増やそうと思います。普段何気なく考えたり、思い浮かんだことを文章にすることで、そのことがクリアになったり、整理されたりするもんです。
21世紀も青臭いガキのような夢を持ってやって行きたいと思う所存で〜〜〜〜〜す。


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『20世紀雑感』
 

▼かしはら まこと

 20世紀がまもなく終わる。といってもそんな実感はあまり無い。
当たり前か。別に地球が逆周りし始めるワケでもなけりゃ、太陽が 西から登るワケでもないから・・(笑)
でも、「世紀末」と呼ばれたこの10年間は、様々な価値観が浮か んでは消え、そして今まで常識と思われていたものがここから先、 非常識になってしまうような、そんな時代のようでもある。

 スピードと情報、アナログからデジタルへ。終身雇用から年俸制へ。社会のシステムそのものも、恐ろしいスピードで変わっていこうとしている。  大体、インターネットがここまで普及するということを、5年ほど前、一体誰が予想できたであろうか。大方の予測は「あれはアメ リカから始まったから、日本では馴染まない・・」ところがギッチ ョン、我々ノクターン・クラブはインターネット環境におけるWe bサイトのあり方を提言しながら、既にホームページを制作する仕事をして生計を立てているのだから、こりゃもう、一寸先は闇と言 うかなんと言うか・・・。とにかく5年前には予想できなかった事が、実際には経済活動として成立しているのが2000年なのである。

 Dog Yearとは良く言ったものだ。パソコンのCPUが1年間に7年分の進化をするという事だが、我々の意識もそのぐらいのスピードでないと、世の中のメーンストリームを見逃してしまう。 実際、パソコンを触れない世のオトーサン方は職場では一段低く見 られてしまうし、子供でもスイスイとオペレーションしてしまう有様を見ると、我々30代はなんとかギリギリ踏みとどまったかな・・ なんて思ってしまう。

 考えて昭和30年代〜40年代前半の我々の世代は20世紀の後半と21世紀の前半を生きるという、実にラッキーな世代では無いだろうか?でもちょうど我々の世代がいま一番「疲れて」いるのも紛れも無い事実である。「働き盛りの30代」とは言うものの、これだけ社会情勢がめまぐるしく動くと、ついて行くのがやっと・・ てな感じにはなりはしないだろうか・・?

 どうも我々の世代は「夢を見る」ことを捨ててしまったような気がする。それはどんな思いでも良い、自分が自分のために実現したいと思う願望が、どうも希薄に思えてならないのである。 よく「自分の夢を子に託し・・・」てなオヤジの話を聞くが、それは本末転倒と言うほかない。自分には「夢をあきらめた正当な理由」 があると思っているのだろうが、実際はそうではない。何かを実現 したいという思いは、成長への力強い「エネルギー」であると思う のだ。実現に向けてあらゆる努力をすることこそ、今の我々に欠け ているものではないだろうか。仕事が、子供が、環境がと、ありとあらゆる理由をつけて自分の「夢」をあきらめても、それは決して プラスにはならない。むしろ年を取った自分をとても冷静に見つめねばならなくなるではないか。

 我々と同じ世代のオトナたちよ。21世紀初頭の主役は、働き盛りの年を迎える我々だ。この時代をいかに楽しく、いかに力強く生 きてゆくか、それにはもう一度「夢」を見ることが必要ではないだろうか。青臭い夢でも別にいいじゃないか。無邪気に走り回った、あのエネルギーに溢れた子供の頃のように、時代を自在に生きたい ものである。

 

【かしはらまこと:柏原  誠】1963年2月生まれ。赤井英和・和泉 修を輩出した浪速高校を卒業、佛教大学で放送局に所属する。卒業後12年間のサラリーマン生活を経て独立、87年に設立したグループ、ノクターン・クラブを復活。和泉 修の誘いでテレビ番組の構成作家とうめだ花月シアターでの舞台演出を手伝う。


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『中年ロッカーの逆襲』
〜まったくいかしたやつらだぜ!〜

▼Kei  

 パソコンを買った。この1ヶ月というもの、パソコンで遊んでいる。堵は云うものの、インターネットに接続してはいないので、相変わらず、ワードで打った文章を「画面ライダー君」にファックスで送ってマガジンに掲載していただくという、アナログなこと を続けている。

 それはともかく、久しぶりのライブが決まった。今度は地元和歌山、有田の地でだ。対バンは、19年ぶりに復活するピストンズというバンド。高校時代の同級生である。
 こいつらは、パンクムーブメントにもろに影響を受けた、トリオ編成。おしゃれさとは 縁遠かったが、とにかく元気がよく、ユーモラスで、馬鹿馬鹿しいノリを持っていて、ぼくらは結構好きだった。
 高三の夏、こいつらにすごい話が持ち上がった。そのころメジャーデビューを果たした、恐怖のパンクバンド「スターリン」の全国ツアーが有田にやってくることになった。そのステージの前座をすることになったのだ。これはすごいことだ。ぼくらもスタッフとして 協力をした。はじめて出会うプロのミュージシャン。そのサポートアクトをつとめたピストンズの連中と、スタッフをつとめた僕とMegumiにとって、バンド(特にパンクロック) が体液の一部になったのは当然のことなのだ。
 そのピストンズが19年ぶりに復活する。「ミカンだけでは食っちゃいけない。有田に未来はないんだぜ。」と歌っていた青臭いパンク少年たちはもう36歳のおっさんになっている。対する、われらBitter Tasteも、年齢では負けていない。1月2日有田郡湯浅にある「喫茶花苑(カエン)」では、高齢化社会における余暇の過ごし方のひとつのモデルが垣間見られるだろう。

 最近、つくづく、「年齢ってなんだろう?」と思わずにはいられない。確かに衰えはやってくる。20代の頃だと、10曲立て続けに演奏しても屁とも思わなかったけれど、今は5曲続けたら酸欠になる。ギターの押さえも甘いし、毎日でもギターを弾こうという 意欲も薄くなってきている。けれど、それが何だというのだ。歌は、学生バンドの頃より もずっと上手くなってきているし、曲作りも昔よりは円熟を増している。そうだ。年齢とともに衰え要素は確かにある。けれど、年齢とともに身につくことだってある。世の中はうまくできているのだ。だから、若い頃の価値にだけしがみついて生きるのは、大きな 勘違いなのだ。
 30代は30代にしか出せない味を、40代には40代の、60代には60代の味を出せばよいのだ。今の日本の世の中は、いい大人が、ガキの価値観に追従して生きようとすることが「ワカイ」ことでよいことであるかのような風潮が強いと思う。でも40歳は40歳にしかできないことをすればいい。

 36歳の僕たちは、たまたまバンドをやっている。それは36歳だからやっているのではない。中学生のときにストーンズを聴いて衝撃をうけたり、スターリンと出会ったり、ライブハウスの楽屋で悔し泣きしたり、そんな青春時代に見た夢や出会った衝撃を今でも体のどこかに感じていたいだけなのだ。

 1月2日、またひとつそんな時間を創ることができる。

 僕らはいくつになっても、青臭いガキだ。

【Kei:本名 坂本桂】ブリティッシュ・ロックの大御所「THE WHO」デビューの1964年に生まれる。高校時代「SMO 」/「ストーン・ギャザーズ・ノー・モス」というストーンズ、ピストルズ、フーなどのコピーバンドのVo.を経験後、1982年に「GAOSS」を結成。オリジナル曲を中心に京都の「拾得」「磔々」大阪「エッグプラント」等で演奏活動を行うが1987年に解散。その後10年のブランクを経てBitter・Tasteを結成。


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『世紀末映画考』
No.013

▼増田達也


 「世紀末映画考」と題するこの連載も今回で終了だ。
20世紀がいよいよ終わる。「世紀末」という響きは何か退廃的でカオスを感じさせる。 ともあれ21世紀になるので、来号からは新しい連載タイトルを考えないと…。

いろいろ好き勝手なことを書いてきたが、振り返ってみると映画館に足を運んだ回数は数えるほどである。来世紀はもう少し回数を増やしたいものだ。
 
僕らが子供の頃、21世紀はほとんど夢ものがたりのような想像をしていた。それはマンガや映画の影響ではないだろうか。「ニューヨーク1997」なんて映画もあったが、すでに1997年は過去になっているし、「2001年宇宙の旅」にでてくるHALのような コン ピュータはまだ出現していない。 誰もが車は空を飛んだり、チューブのようなところを縦横無尽に走る車社会を夢見てい た。ただ想像していたものはいつか可能になるのだとも思う。

 21世紀僕らが「老人」とよばれる頃、ほんとにSF映画のような世界になっている可能性は否定できないはずだ。そう言えば子供の頃は、ロケットに乗って月や火星に宇宙旅行へ行けるんじゃないかと 思っていた。海外旅行はすっかり身近になり、まして日本人はどこの国にもいるような状 況になったが、21世紀宇宙に行けるようにでもなれば日本人はこぞって宇宙へ行くのではないだろうか。

そうだ、21世紀「映画」はどのような形で存続していくのだろう?デジタル化がどんどん進み、ハリウッドで制作された映画は瞬時にして世界各国へ送られ世界同時公開なんて当たり前だろうし、フィルムはどんどん廃れる方向に走っているのであろう。ただなんでもかんでもデジタル化してしまうと、映画の良い部分も無くなってしまうのでは ないかと危惧してしまう。

ハリウッド大作映画はある意味、大衆を大事にし大衆の為に万人うけする作品を作り続けている。これはこれで大事なことである。ただそのためにシステマチックになり、監督の作家性は無視され、編集権はプロデューサー等の会社側に奪われているのが現実のようだ。ヨーロッパや日本はその点まだ監督の作家性を保っているようである。アメリカはどこま でも合理的であり、そのため世界に君臨する大国となった。日本には日本のやり方があるはずである。

サッカーにはその国独自のスタイルがある。イタリアサッカーとオランダサッカーは違う し、ブラジルサッカーとイングランドサッカーも違うのである。その国の文化と歴史から育まれてその国のサッカーが形造られたのだ。日本映画も日本サッカーも独自のスタイルをどんどん打ち出して行ってほしいものだ。
ただし日本サッカーはまだまだ色んな国のスタイルを取り入れていかなければならないだろうけど…・・。

■今回のMASUDAのおすすめ映画(レンタルビデオ)は、「仁義無き戦い」です。
 今年阪本順治監督で新作が上映されたが、元祖は深作欣ニ監督のシリーズものだ。菅原文太の出世作でもある。
 実録ものとうたうだけあって、アクションシーンはリアリティーがある。


【増田達也:ますだ たつや】1964年10月生まれ。佛教大学時代は放送局に所属。イラスト・グラフィックデザイナーとして活躍し、99年独立。ノクターン・クラブのコア・メンバーとして主にWebサイトのデザインを担当する。音楽・映画に詳しく、作品に対してイーヴンな評価を与えられるアーティスト。後述の「画面ライダー」の作画担当。


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『風流花譚』
その3 〜クリスマス・ローズ〜

▼夏実


 クリスマス…雪が降っていた。
それは天空から静かに舞い降り続け、まるで私の涙のように途切れなかった。 いつものように窓の外の庭をぼんやり眺めていると…ふと、庭の大きな木の下のほんの片隅…純白の可憐な花が咲いているのに気が付いた。
私の指差す方向に視線を向けた母は『ホントに咲くなんて…』と言葉を詰まらせた。
 
そう…確か2年前だった。
寒い日だったけれど、陽射しはキラキラと眩しかった…。 そんな中、いつものように父が庭の手入れをしていた。 色が少なくなった庭はいつもよりちょっぴりさみしい感じがした。

『お花、少ないね。』
『そりゃ冬はね。でもこうしたらどうだい?』
『でも、それお花咲いてない…。』  
父は苦笑した。 『まだ小さいからね。でも、これは寒さにとても強い花なんだ。

雪がうっすらとつもった中に咲くこれを見たら何だかとても幸せな気持ちになれるはずだよ…。きっとね。』
『ふ〜ん。なんていう花なの?』  父は少しためらうように『ヘレボラス…』と、言った。
『変わった名前。どんな花が咲くんだろ?』
『ヘレボラスというのはギリシア語で「死に至らしめる食物」という意味が あるんだ。』
『えっ!これ毒があるの?やだあ…』  私は気味悪そうに大きな木の影に植えられたそれを見た。
 父は小さくゆっくりと首を振った。 『根っこだけだよ。全然心配ないさ。バラにだってとげがあるだろう? あれと一緒さ。美しいものには…ってやつだよ。実はこれの毒性はかなり 強いんだけどね。パパが若い頃イギリスに留学していた時に初めて見たんだ。 バラの花に似ているところから「レンテンローズ」って言われてるみたい だね。雪の降る寒い寒い日に純白の花を咲かせていた。それはそれは美しく てね。その白さが妙に目に焼き付いてる、今でもね。これも純白のやつだと いいんだが…。』
 父は遠くを見るような目をしていた。

 そんな父が突然逝ってしまった。 死とは何と残酷で悲しいものであるのだろう。
月日の経過だけが、ようやくただただ涙が溢れてくる衝動を押さえられる ようになる薬だった。
 片翼をもがれた…飛ぶことを忘れた鳥。それが、今の私だった。
 母がポツリ、と言った。 『あの花の名前知ってる?』 『パパに教えてもらった…。確かレンテンローズって言ってた…ヘレボラス が学名だって…』
 母は小さくため息をついた。 『咲いてから、あなたに言うつもりだったのかしらね。』 『どういうこと?』 『あの花は別名「クリスマスローズ」っていうのよ。クリスマスにバラに 似た花を咲かせるから。でも日本では冬に咲く品種はとても育てるのが難し いのよ。本当によく咲いたわねえ…。パパからのクリスマスプレゼントかし らね。』
 母は私の肩に優しく手をおいて言った。 『パパから聞いたことがあるわ。クリスマスローズは天使からの贈り物なん だって…。』

 瞬間パタパタとこぼれ落ちるモノをとめることが出来なかった。いつになったら涙は枯れるんだろう…まだ泣けてくるよ…パパ。

 雪はつもりそうだった。
 でも天使は雪の下からその花を探してくれたのだそうだ。キリストの誕生を祝う少女のために…。  そしてパパは、私の為に…。
 
 クリスマス…全ての人が幸せであるようにと、その花はこうべを垂れて花 開く。それはまるで祈りを捧げているように。

【夏実:なつみ】2001年、ryu_mama♪のHNでサイト『Ryu's Cafe』を開設。 現在、1男の母。

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■編集後記

マスダ氏と共に、久々の海外でございました。 ホノルルマラソンは海外で行う日本のイベントだというのが、
よく分かりました。 お土産は月並みにチョコレートを買いました。 帰ってきた日本は、とても寒うございました。
そんなこんなで年末ギリギリまで仕事しています。 来年はもっとバリバリだぜぃっ!

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編集:柏原  誠
    増田達也

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2004年1月10日 更新