No.352の記事

結婚式

アップロードファイル 266KB

正直なところ、自分がこういう日を迎えられるということをなかなかイメージできなかった。
10年ほど前に会社を辞めて独立した時も、
3年前まで父の介護をしていた時も、
心の中心にはいつも結婚したいという願望があったにも関わらず、
その事をただひたすら隠して、目の前の現実と闘っていたような気がする。
しかし、心に生えた"棘"もいつかは先が鈍くなるもので、
それは年齢と共に経験を重ねてきたからかも知れないし、
多くの人に会ってきたからかも知れない。

今回の結婚式は親戚だけを招いた小さなイベントだったが、それは僕の今まで関わったどんな大きな
イベントをも凌駕するほどの感動と感激を与えたものであった。

それは、自分がある種頑なに守ってきた、心の中の氷山が溶けたような感覚・・・。
多くの人に守られて、愛されて、信頼されて、期待されてきて生きてきたのだという事を
今更ながら深く心に刻んだ、イベントであった。

父の告別式でさえ堪えた涙が、
堰を切ったように溢れ出た。
それは心に留めていた何かとの訣別だったかも知れない。
これからは、人生を共に歩む人がいる。
おまえ、たったひとりじゃないんだと、
親父が虚空から微笑んでくれたのだった。